私が幼稚園の年長だった頃の話です。求人の保育士を奈良の大和高田では田舎の広い園庭がある幼稚園に通っていた私は、砂場遊びが大好きでした。その日も砂場で泥団子を作る遊びに夢中になっていたところ、同じクラスの男の子が走ってきて、綺麗に並べた泥団子を踏んで壊してしまいました。一生懸命作った泥団子を壊された私は、怒り心頭です。早く奈良で評判の保育園を探そうとその男の子の頭をげんこつで殴ってしまいました。驚いた男の子が泣き始めてしまい、我に返った私は男の子に謝ったり、慰めたりしていて、男の子とは何とか仲直りすることができました。お昼寝のあと、担任の彩名先生が「みかちゃん、さっき泣いているけんちゃんのことを慰めていたね。優しいね。」と声を掛けてくれました。泣かせてしまったのは私ですが、彩名先生はそのことに気付いていないようです。家に帰ると、連絡帳にもそのことが書いてあり、母にも褒められました。子供ながらに、本当は自分が悪いことをしたせいなのに褒められたことが申し訳ないような気持ちになりましたが、彩名先生にも、母にも本当のことを言うことができませんでした。翌日は幼稚園に行くのが憂鬱な気持ちでした。大好きな砂場遊びも楽しくありません。そんな様子に気付いた彩名先生が、声を掛けてくれました。本当のことを言ったら彩名先生ががっかりしてしまうかもしれないし、彩名先生に怒られるかもしれない。でも、本当は私がけんちゃんのことを泣かせちゃったんだって言った方が良いのかもしれない。考えているうちに涙が出てきて、本当のことを打ち明けてしまいました。その時、彩名先生が私の頭を撫でて「けんちゃんのことを叩いてしまったことは良くないけれど、きちんと謝って、正直に本当のことを話せたのはとてもすごいことだよ。」と言ってくれました。私はそのことがとても嬉しくて、30年経った今でも先生とのエピソードとして覚えています。

投稿者 b35va3