我が家の長男が幼稚園年少時の話です。保育士を採用できる奈良の大和高田ならでは、自分の殻を破って子ども特有の無邪気に遊んだり、歌ったりするのが苦手でした。入園後も担任の先生の前で、「おはようございます」すら言えず固まってしまう彼を目にしても、どこか「シャイ」だからしょうがないと半ばあきらめていました。そんな時、何かにつけ固まってしまう長男のことを担任の先生はしっかりと観察し、あることに気づいてくれたのです。これから保育園を奈良市内で決めるとするとそれは、長男が先生の言うことを1回目は固まってしまい行動に移すことができなくても、時間をおいて2回目には自分の言葉で言い換えて聞いてから行動できた、ということでした。先生は私に、「○○くんはシャイな面もあるけれど、どちらかというと自分で納得してから行動に移したいのかもしれません」と教えてくれたのです。そう言えば、こだわりが強く好きなおもちゃはとことん肌身離さず持ち遊び、あまり飽きて放っておくことが少ないことなど思い当たりました。そんな長男が入園から唯一できなかった「おはよう」の挨拶も、その先生は挨拶を返せない長男に毎日毎日挨拶し続けてくれたのです。そして、そろそろ進級を目前にする3学期、ついに長男から「おはよう」と担任の先生に挨拶ができるようになったのです。挨拶をすることが毎朝を気持ちよく過ごすための行為であると長男なりに納得したのでしょう。親として言い聞かせてできるようになることばかりやってしまいがちだったのですが、その先生の「その子の考えをくみ取って、待つ」というやり方もあることを知った貴重な体験になりました。約1年間、先生と一緒に子どもの成長を「信じて、待つ」ことを経て、できるようになったことがとてもうれしいエピソードです。
2020年5月
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長男を変えた幼稚園先生の「待つ」強さ
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幼稚園の卒園式。先生の涙にもらい泣きしました。
長女の幼稚園の卒園式での出来事です。長女の担任の先生は、新卒で入ったばかりの先生で、初めて持ったクラスが年長組でした。評判になっている大和高田の保育園は4月に受け持った当初の先生は、保護者の前で話す声も震え、緊張しているのが分かるくらい、まだまだ先生に成り立ての先生でした。子どもたちの成長と共に、先生も少しづつ先生らしく成長していくのが嬉しかったのを覚えています。10月に運動会がありました。その時の先生は、4月の頼りなく感じた先生ではなく、評判の保育園は奈良でもなかなか子どもたちと笑顔を交わし、指導する眼差しが真剣そのもので、先生の顔になっていました。そして、3月の卒園式での出来事です。先生が一人一人子どもたちの名前を読み上げて、卒園証書を受け渡します。名前を呼び、受け渡すまでは、先生も涙をこらえていたのでしょう。卒園証書の授与が終わり、子どもたちが清らかな声で歌を歌います。その時の先生はこらえていたたくさんの涙を流していました。顔を抑え、涙を拭う先生の姿に、もらい泣きしました。長女の卒園の感動の涙に加え、新卒で入ったばかりのぎこちなかった先生が、この1年、先生として一人前になるために努力を重ねて来られたのだろうということを思うと、親として、涙が止まりませんでした。