朝の登園時間、子どもたちは笑顔と少しの緊張を胸に、先生の「おはよう！」という声に迎えられます。手をつないで歩く姿、園庭で友だちを見つけて駆け出す姿。その一つひとつの動作に、子どもたちの成長と安心が詰まっています。
そんな日常を支えているのが、地域に根ざした高田のこども園です。ここでは「子どもが自分のペースで伸びる」ことを何よりも大切にしています。早くできることよりも、「やってみたい」「もう一度挑戦したい」という気持ちを育てる。保育者はその心の芽を見逃さず、言葉をかけ、励まし、時にはそっと待ちます。
たとえば、靴を履くのに時間がかかる子がいました。周りの友だちが先に出ていっても、先生は焦らせず「ゆっくりでいいよ」と声をかけます。ようやく履けたとき、子どもの顔には満足そうな笑みが広がります。こうした「できた」の瞬間が、自己肯定感を少しずつ積み上げていくのです。
また、園での遊びの中には学びがあふれています。ブロックを積み上げながら「高くしよう」「倒れないように」と工夫する姿。友だちと協力して砂場に大きな山をつくり、途中で形が崩れても「もう一回やろう」と笑い合う声。その中で子どもたちは自然にコミュニケーションの力を身につけていきます。
先生たちは、子どもの言葉に耳を傾け、その思いをくみ取ります。ときには小さなけんかも起こりますが、それも成長の一部です。「どうして嫌だったの？」と尋ね、「じゃあ次はどうする？」と考えさせる。自分の気持ちを伝え、相手の思いを受け止める経験が、社会で生きる力を育てます。
保護者との信頼関係も欠かせません。連絡帳で伝える一言、迎えの際の短い会話の中に、「家では見られない姿を教えてもらえるのが嬉しい」との声をいただくことがあります。園での小さな変化を共有することで、家庭との絆が深まっていくのです。
さらに、地域とのつながりも大切にしています。近所の方が声をかけてくれたり、散歩中に「がんばってるね」と笑顔を向けてくれたり。そんな温かい関わりの中で、子どもたちは「人に見守られている」という安心感を得ます。
「高田のこども園」が目指すのは、子ども・家庭・地域が三位一体で育ち合う環境づくりです。どんな時代になっても、人の温かさを感じられる場所。子どもたちが将来「ここが自分の原点だった」と思い出せるような園であり続けたいと思っています。
今日も園庭には、笑い声と風の音が響いています。転んでも立ち上がる子どもたち、失敗してもあきらめない気持ち。そんな姿に、先生たちは何度でも心を打たれます。大人が子どもに教えるだけでなく、子どもからも大切なことを学んでいるのです。