パン、パン、と誰かが手をたたく。すると隣にいた子も同じように手をたたき、その音を聞いた別の子が身体を揺らし始める。子どもにとって音やリズムは、上手に歌ったり楽器を演奏したりするためだけのものではありません。聞こえてきた音に反応し、自分なりに身体を動かしたり声を出したりすることそのものが、楽しい表現の一つです。子どもたちが日々どのような経験を重ねているのか気になるときは、大和高田の認定こども園での保育を見てみることで、園生活の雰囲気をイメージするきっかけにもなります。

幼い子どもは、身の回りにあるさまざまな音に興味を示します。

雨が窓に当たる音。

風で葉が揺れる音。

積み木同士がぶつかる音。

食器を置いたときの小さな音。

大人にとっては聞き慣れた音でも、子どもにとっては新しい発見になることがあります。

「今の音、何だろう」

そう思って耳を澄ませることから、音への興味は始まります。

音楽や歌の時間でも、子どもの楽しみ方は一人ひとり違います。

大きな声で歌う子。

先生の動きを見ながら手を動かす子。

歌わずにじっと聞いている子。

リズムに合わせて身体を揺らしている子。

全員が同じ方法で参加する必要はありません。

まず聞いてみる。

気になったら少し動いてみる。

楽しくなったら声を出してみる。

それぞれの入り方があってよいのです。

繰り返し同じ歌に触れていると、少しずつ変化も生まれます。

最初は聞くだけだった子が、ある日突然最後の一言だけ歌ってみる。

手遊びの動きを覚え、自分から始める。

友だちが歌い始めると、その輪に加わる。

昨日までできなかったことを練習して完成させるというより、「知っている」「楽しい」という気持ちが自然な参加につながっていきます。

リズム遊びには、友だちと関わる楽しさもあります。

一人が「パンパン」と手をたたけば、もう一人がまねをする。

今度は違う速さでたたいてみる。

それを聞いた子が足踏みを加える。

誰かが考えたことに、別の子のアイデアが重なることで、最初とはまったく違う遊びに変わることがあります。

そこには決められた正解がありません。

だからこそ、自分なりの表現を楽しむことができます。

「こんな動きはどうかな」

「次はこうしてみよう」

言葉ではなく、音や身体の動きで気持ちを表すことも、子どもにとって大切なコミュニケーションです。

特にまだ十分に言葉で思いを伝えられない時期には、笑顔、声、動き、リズムなど、さまざまな方法で自分を表現しています。

大人がその表現を受け止め、一緒に楽しむことで、「やってみていいんだ」という安心感にもつながります。

また、音楽には気持ちを切り替えるきっかけになる面もあります。

楽しい歌が聞こえてくると自然に集まってきたり、ゆったりした音を聞きながら落ち着いた時間を過ごしたりする。

毎日の生活の中に音や歌があることで、一日の流れを感じることもあります。

保護者にとって園選びを考える際、何を「教えているか」だけを見る必要はありません。

子どもが自由に表現できる時間があるか。

やってみたい気持ちを受け止めてもらえるか。

友だちと一緒に楽しむ経験があるか。

そんな日常の部分にも、幼児期ならではの育ちがあります。

上手に歌えることがゴールではありません。

音を聞いて面白いと思う。

思わず身体が動く。

友だちの表現を見て、自分もやってみたくなる。

そして、自分なりの方法で楽しんでみる。

そんな小さな経験の積み重ねが、子どもの「表現してみたい」という気持ちを育てていきます。

手拍子一つ、歌声一つから始まった遊びが、子どもたちの発想によって大きく広がっていく。

その瞬間をたくさん経験できることも、毎日仲間と過ごす園生活ならではの魅力の一つです。